白斑の原因と対処方法

白斑とは?

乳頭先端にみられる直径1mmから5mmくらいの白い斑点で、授乳する時に針で刺されるような強い痛みを伴います。
白斑が出来ると、乳管が詰まって母乳が乳腺内にとどまるためにシコリが出来ることが多いです。
よくあるトラブルです。

白斑の原因は何?

白斑の原因は、

「乳首の皮膚に負担のかかる授乳」です。

乳首の皮膚は腕・足・お腹・背中などの皮膚と違って「非常に薄くて傷つきやすい」のです。
そのため、授乳のやり方によっては乳首の皮膚に負担がかかり様々なトラブルがおきやすくなります。
そのトラブルの一つが「白斑」です。

負担のかかる授乳ってどんな授乳なの?

乳首に負担のかかる授乳とは次の三つです。

1.長い時間吸わせる

多くのママさんたちは、「乳首を長く吸わせれば吸わせるほど赤ちゃんは母乳を沢山飲める」「吸わせれば吸わせるほど母乳が出てくる穴の開通が良くなる。」と思ってらっしゃいますが、射乳が終わると母乳はほとんど出なくなるので、おしゃぶりのように吸っているだけになる事が多いです。

おしゃぶりのように吸っているだけの時間が長くなればなるほど乳首の先の皮膚に負担がかかります。

2.頻回すぎる授乳

新生児の頃は飲む力もそれほど強くないので一回の授乳で十分な量を飲めない事が多いです。

そのためすぐにお腹が空くので頻回に授乳する必要がありますし、頻回に授乳することで分泌が増えやすくなります。

けれども限度を超えると乳首に負担がかかることが多いです。

3.乳首・乳輪が固いまま吸わせる

乳首・乳輪が固いと赤ちゃんの舌が滑って深くくわえられない為、乳首の先を吸ってしまいます。
そうすると非常に痛いだけでなく乳首の先に負担がかかります。

白斑が出来るしくみ

こののような乳首の先に負担がかかる 授乳が続くと

乳首の皮膚に圧力がかかる

乳首の皮膚の血行が悪くなる

乳首の皮膚の栄養分・水分が不足する

皮膚が硬くなる

白斑ができる。

※座りダコ、ペンダコ、靴づれなどに似ています。

白斑を治すには?

白斑を治すには、白斑のある方の乳首に負担のかからないように授乳する事が大切です。

けれども、多くのママたちは白斑が出来ると、しっかり吸わせるとポロリと取れるような気がして、白斑のある方を長い時間、頻回に吸わせてしまっています。

それは逆効果なのです!

長い時間・頻回に吸わせると、乳首の先に負担がかかり、痛みはひどくなり白斑は数が増えたり大きくなっていきます。

五円玉の穴よりも大きくなってしまったママもいらっしゃいました。そこまで大きくなると物凄く痛いので授乳はかなり困難となります。

白斑がある時の授乳方法のコツ!

①白斑のない方から授乳する

なぜかと言うと赤ちゃんは飲み始めはお腹が空いているので必死で強く吸い付きます。
それが白斑が出来て傷んでいる乳首には負担になるので、白斑のない方から授乳します。

②射乳が起きたら白斑のある方を吸わせる

赤ちゃんの飲む様子を観察していると、最初はチュクチュクと乳首の先を吸っています。しばらく吸っていると射乳(母乳が出てくる)してくるので、赤ちゃんは急にゴクゴクとしっかり吸いはじめます。

その時に白斑のある方に交代します。「さあ、出てきたぞ!」と飲もうとしている赤ちゃんには申し訳ないんですが。

なぜ、そうするのかと言うと、射乳がおきている時は、赤ちゃんの口に母乳が吹き込んでくるため乳首に負担をかけないで吸うからです。
また、交代した方の乳首からは母乳は出ていないと思われるかもしれませんが、射乳は左右乳房同時におこりますのでもう一方の乳首からも母乳が出ているので大丈夫です。

※交代する時は黙って交代せずに、赤ちゃんに「交代するよ」など声をかけてくださいね。

③射乳が終わったら白斑のない方を吸わせる

射乳が終わると赤ちゃんの口に母乳が吹き込んでこなくなるので、赤ちゃんは乳首の先をチュクチュクと吸います。

チュクチュクと長い時間吸われると乳首の先に負担がかかってしまいますので、白斑のない方に交代します。

④以上のように左右の乳房を何回か交代して最後は白斑のない方で終わる

母乳を飲んでお腹がいっぱいになっても、しばらくの間は赤ちゃんは乳首を口に含んでママに抱っこしてもらって甘えていたいのです。それはママにとっても大切な時間ですね。

けれども、その時間が長すぎるとやはり乳首に負担がかかります。
白斑のある方を長く吸わせていると白斑は治りにくくなります。

最後は白斑のない方を吸わせるようにしましょう。

射乳してくるという感じがよくわからない場合は?

白斑のない方から吸わせる、白斑のある方を吸わせすぎないようにするようにするだけでも良いです。

両方の乳首に白斑が出来ている場合は

少しでも痛みがマシな方から授乳しましょう。

白斑が痛すぎて授乳が苦痛という場合は?

短時間だけ吸わせるか、それも苦痛なようなら授乳を中止して搾乳だけにします。

白斑がある時に心がける事

長い時間吸わせ続けない

赤ちゃんの様子や吸われている感じに意識を向けて「あまりしっかり吸っていないな」と感じたらもう早めに(赤ちゃんが眠ってしまわないうちに)一方の乳房に交代する。
これを何回か繰り返す。
詳しくはこちらをご参照ください。
添い乳は長い時間吸わせがちですので、しない方が良いですが、どうしてもという場合には白斑のない方を吸わせるようにしましょう。

頻回に授乳しすぎない

赤ちゃんがしっかりと空腹になってから授乳する。
寝かせるためにおしゃぶりのように吸わせすぎないようにする。

授乳間隔が大幅に開かないようにする

授乳間隔が4から5時間以上開くと乳房が張って乳輪が硬くなるので、赤ちゃんの舌が滑ってしまって乳首の先をくわえてしまいがちです。そうすると乳首の先に負担がかかります。
出来るだけ授乳間隔が大幅に開かないようにしましょう。

乳首を柔らかくしてから授乳する

授乳前に手で搾乳すると乳首・乳輪が柔らかくなって赤ちゃんはくわえやすくなり、乳首の先に負担がかかりにくいです。

授乳の抱き方を工夫する

抱き方についてはこちらをご参照ください。

食事に気をつける

白斑がある時は排乳口(母乳が出てくる所)が細くなっているため大変詰まりやすいです。

当院にトラブルで来院される方々の乳房の状態を拝見しておりますと、やはり甘いものは詰まりやすいと思います。
お菓子だけでなく砂糖が多く含まれている食品(とんかつソースやステーキソース、焼肉のタレ、お寿司など)もトラブルがある間は取りすぎない方が良いです。

和食中心にとよく言われていますが、和食は他の料理に比べて砂糖を使う割合は多いです。
煮物などに砂糖をたくさん使うというご家庭もありますね。
乳房トラブルがある時は砂糖の量を控えた方が良いでしょう。

また、詰まるのが怖くて過度の食事制限をなさっている方も多いです。
以前、「毎月のように乳腺炎になって困っている」という事で来院された方がいらっしゃいました。
その方は「詰まってシコリが出来て乳腺炎になるのが怖いから」と長い間ご飯と野菜しか食べておられませんでした。
栄養不足の食事が続いて、貧血や免疫力が低下したことも乳腺炎になりやすくなった一因と思います。

肉、魚、大豆、などのタンパク質は積極的に食べた方が栄養状態が良くなるので白斑は治りやすいです。
油を使ったお料理は大量に食べなければ、あまり影響しないです。
また、アレルギーがないようでしたら卵・乳製品も食べてください。

水分は我慢せずに取る事

白斑が詰まってシコリがある時は、水分を取るとシコリが大きくなるような気がして我慢する方が多いですが、水分が少ないと母乳の濃度が高くなって余計に詰まりやすくなります。また、夏場は熱中症が心配です。
我慢せずに飲みたいだけ飲みましょう。

体調に気をつける

白斑がある時は排乳口が詰まって乳腺炎を引き起こす場合があります。
身体が疲れて抵抗力が落ちている時は乳腺炎になりやすいですので、家事などは頑張ってせずに身体を休めるようにしましょう。

白斑はどのくらいで治るの?

白斑は長い時間、乳首の皮膚に負担がかかって出来るものですので、治るには時間がかかります。
手足に出来たタコや靴ズレも治るには時間がかかるのと同じです。
白斑が出来てすぐに適切な授乳をすると1週間くらいで治る事が多いですが、日にちが経っている場合は1ヶ月以上かかる事も少なくありません。

保湿剤とラップについて

白斑が出来たら保湿剤を塗ってラップを貼る方が多いですが、ラップを貼ると治りにくくなります。
これについてはこちらで詳しく書いていますのでご参照ください

井田助産院サイト
https://www.ida-josanin.com/

井田助産院 Facebookページ
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井田助産院Instagram
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おっぱいトラブルと食事について

母乳育児をしていると、「おっぱいのトラブル」に遭遇することがあります。

おっぱいの先の痛み、乳房にシコリが出来て痛い、乳房が痛いなど。

とても辛い事です。
そんなトラブルの原因は何でしょうか?

多くのママたちは食べたものが悪かったと思っていらっしゃるようです。

「〇〇を食べたから乳腺炎になった。〇〇を食べたから白斑が出来た。」などなど。

確かに食べ物が原因の事もありますが、トラブルの原因は「授乳」にもあります。

「おっぱいの先に負担をかけるような授乳をしている」と乳房トラブルになりやすいのです。

負担のかかる授乳にはいくつかあります。
そのひとつが「吸わせすぎ」です。

今日はその「吸わせすぎ」についてお話します。

「吸わせすぎ」には、

「長い時間吸わせ続ける」

「頻回に吸わせる」

などがあります。

ママたちはおっぱいは吸わせれば吸わせるほど、おっぱいの出るところ(排乳口)の開通が良くなると思っていらっしゃるようですが、限度を超えると全く逆の結果になる事があります。

吸わせすぎる事によって、おっぱいの出る排乳口周辺が傷んでしまい、排乳口が狭く細くなり詰まりやすくなります。場合によっては白斑が出来る事もあります。

そうなってしまうと、ちょっと甘いものなどを食べすぎただけで排乳口が詰まってしまい、出られなくなった母乳が乳房内に残って「シコリ」などのトラブルを起こしやすくなります。

長い時間吸わせる、頻回に吸わせるなどをしすぎない事で、それほど食事を我慢しなくてもトラブルを起こしにくくすることが出来るのです。

私は開業してから授乳中の食事についてママたちに細かくお話ししていました。

けれども、食事を頑張って我慢していてもトラブルを繰り返すママたちは多かったですし、食べられないということはとても辛い事でありストレスにもなっているようでした。

そんなママたちを見て、「食べたいものを食べてもおっぱいトラブルを避ける方法はないのか?」を考えてきました。

当院にいらっしゃった多くのママたちに協力してもらい試行錯誤の結果、「おっぱいの先に負担のかからない授乳」をすることで、おっぱいトラブルをある程度防ぐ事ができるとわかりました。

やみくもに食事を制限するだけでは、トラブルが解消されないだけでなく、ストレスもたまってしまいます。栄養不足となってトラブルを繰り返したり長引いたりする事もあります。

授乳は毎日何回もする事です。

毎日何回もすることはそのやり方が大切です。

例えば、姿勢・歩き方が健康に影響を及ぼすように。

おっぱいの先に負担のかからない授乳をすればトラブルが防げるだけでなく身体にも気持ちにも良い影響があります。

過度の食事制限をしなくても楽しい母乳育児が可能となるのです。

暑い夏は水分摂取

まだ7月なのに38度前後の気温が続いています。まだまだ暑い日が続きそうでげんなりしますね。8月はどんな事になるんでしょうか?
さて、暑い季節になってから、授乳の時に赤ちゃんが怒る・泣き出すなどで「母乳の出が悪いのでは?」と心配されて来院される方が多いです。
その原因の多くはお母さんの水分不足です。水分の摂取量が少ないと母乳量も少なくなります。
出産前にお仕事をしておられた方は、仕事中に水分補給がままならない職場環境だった方も多いです。長年そのような生活をされていると、水分を取らなくても大丈夫な「省エネモード」のようになっていらっしゃるのではないかと思います。「喉が渇いている」という事に気づきにくくなるのです。
そんなママたちも心がけて水分を取るようにすると、「喉が渇いているのが分かるようになった。」「飲みたいと思うようになった。」とおっしゃいます。
水分は授乳後に取るという方が多いですが、授乳前に飲んでおくと、射乳反射(母乳が湧いてくる)が起きやすくなります。授乳中も左右のおっぱいを交代する時に飲むようにすると、射乳が再度起きやすくなります。赤ちゃんも一度にたっぷりの量の母乳を飲めるようになると言うわけです。また、当院に来られている方はよくストローを使ってらっしゃいます。ストローだと赤ちゃんの顔を見ながら飲めますね。赤ちゃんも一度にたっぷりの量の母乳を飲めるようになると言うわけです。
また、暑い夏は、熱中症を予防するためにも水分補給を心がけましょう。