実習

先日は看護大学の実習日でした。
今回は、病院の産婦人科の実習を終えた女子学生2名です。
実習の日は、来院されるお母さん方に見学させてもらっても良いかどうかをお聞きします。承諾を得ることが出来たら、日頃私が行っているおっぱいのケアなどを見学してもらいます。当院にいらっしゃるお母さんたちのほとんどは、母乳育児が行き詰まって来られるのですが、看護学生にご自身の体験をお話して下さる方が多いです。

「出産したら普通に母乳が出て赤ちゃんはゴクゴク飲んで成長するものと思っていたけれど、うまく吸い付けなくて泣き叫ぶ赤ちゃんを抱っこして途方に暮れた」
「他のママたちは軽々と授乳しているのに、自分はうまく出来ない。皆が普通に出来ていることが出来ない。自分はダメなママだと思い落ち込んだ。」
「それでも一生懸命吸わせていたら、おっぱいの先が痛くなり、あまりにも痛くて授乳したくない。授乳が苦痛、授乳が怖いと思ってしまう。」
「でも、赤ちゃんはお腹が空いてずっと泣いている。赤ちゃんに満足に母乳を飲ませてやれないんだってまた落ち込んだ。」「こんなママでごめんなさいって思った。」

お母さん方のお話に真剣に耳を傾けている彼女達を見ていると、私が何時間も講義するよりも、はるかに多くの学びがあるのだと思います。
私にとっても、実習生が来る日は助産師になりたての頃に戻れる貴重な時間になっています。
実習にご協力下さった皆様ありがとうございます。

おっぱいトラブルと食事について

母乳育児をしていると、「おっぱいのトラブル」に遭遇することがあります。

おっぱいの先の痛み、乳房にシコリが出来て痛い、乳房が痛いなど。

とても辛い事です。
そんなトラブルの原因は何でしょうか?

多くのママたちは食べたものが悪かったと思っていらっしゃるようです。

「〇〇を食べたから乳腺炎になった。〇〇を食べたから白斑が出来た。」などなど。

確かに食べ物が原因の事もありますが、トラブルの原因は「授乳」にもあります。

「おっぱいの先に負担をかけるような授乳をしている」と乳房トラブルになりやすいのです。

負担のかかる授乳にはいくつかあります。
そのひとつが「吸わせすぎ」です。

今日はその「吸わせすぎ」についてお話します。

「吸わせすぎ」には、

「長い時間吸わせ続ける」

「頻回に吸わせる」

などがあります。

ママたちはおっぱいは吸わせれば吸わせるほど、おっぱいの出るところ(排乳口)の開通が良くなると思っていらっしゃるようですが、限度を超えると全く逆の結果になる事があります。

吸わせすぎる事によって、おっぱいの出る排乳口周辺が傷んでしまい、排乳口が狭く細くなり詰まりやすくなります。場合によっては白斑が出来る事もあります。

そうなってしまうと、ちょっと甘いものなどを食べすぎただけで排乳口が詰まってしまい、出られなくなった母乳が乳房内に残って「シコリ」などのトラブルを起こしやすくなります。

長い時間吸わせる、頻回に吸わせるなどをしすぎない事で、それほど食事を我慢しなくてもトラブルを起こしにくくすることが出来るのです。

私は開業してから授乳中の食事についてママたちに細かくお話ししていました。

けれども、食事を頑張って我慢していてもトラブルを繰り返すママたちは多かったですし、食べられないということはとても辛い事でありストレスにもなっているようでした。

そんなママたちを見て、「食べたいものを食べてもおっぱいトラブルを避ける方法はないのか?」を考えてきました。

当院にいらっしゃった多くのママたちに協力してもらい試行錯誤の結果、「おっぱいの先に負担のかからない授乳」をすることで、おっぱいトラブルをある程度防ぐ事ができるとわかりました。

やみくもに食事を制限するだけでは、トラブルが解消されないだけでなく、ストレスもたまってしまいます。栄養不足となってトラブルを繰り返したり長引いたりする事もあります。

授乳は毎日何回もする事です。

毎日何回もすることはそのやり方が大切です。

例えば、姿勢・歩き方が健康に影響を及ぼすように。

おっぱいの先に負担のかからない授乳をすればトラブルが防げるだけでなく身体にも気持ちにも良い影響があります。

過度の食事制限をしなくても楽しい母乳育児が可能となるのです。

おっぱい講座 2019年スケジュール

来年度の「おっぱい講座」のパンフレットを作成しました。1年分のスケジュールも掲載しております。講座のテーマは5つ。
1 おっぱいを増やすコツ
2 おっぱい卒業
3 おっぱいを飲ませるコツ
4 おっぱいトラブル対処法
5 おっぱいを美味しくするコツ
事もあります。出産後の方・妊娠中の方だけでなく、母乳育児に関心のある方でしたらご参加いただけます。ただし、気がねなく授乳しながら聞いていただきたいので、参加は女性に限らせていただいています。
参加費:500円 要予約
くわしくは↓
http://www.ida-josanin.com/oppai_lecture/oppai_lecture.html

赤ちゃんがおっぱいを吸えない

赤ちゃんが、ママのおっぱいをうまく吸えないという事で来院される方は多いです。以前からこのような相談はありましたが、最近増えているように感じます。
先日も吸えなくて困ってらっしゃるママが来院されました。赤ちゃんは生後1ヶ月。出産したところでは、「赤ちゃんのお口が小さいからかな?」「お口が大きくなるまでは吸いつけるのは難しいかも?」「ママのおっぱいの先が出ていないので吸いにいのかな?」と言われていたそうで、哺乳びんの乳首をおっぱいの先につけて飲ませて、その後に母乳を搾乳して哺乳瓶で飲ませていらっしゃいました。授乳にものすごく時間がかかって、ほとんど眠っていないとのこと。とても疲れておられる様子でした。
おっぱいを見てみると先が硬くなっています。どのように搾乳しているのかと尋ねると、「赤ちゃんに少しでも母乳を飲ませたいので、一生懸命搾乳していました。うまく搾乳出来ないので、痛いのを我慢して思いきり力を入れて搾乳していました。」と。力を入れすぎて搾乳をすると乳輪部が腫れて硬くなります。硬くなってしまうと余計に赤ちゃんが吸いにくくなります。
力を入れなくてもできる搾乳方法をお伝えし、赤ちゃんが飲みやすい抱っこをしていただいて授乳を試みたところ、上手に飲むことが出来ました。
この方の場合、乳輪部が硬くなるような搾乳をしていた事と授乳の抱っこが赤ちゃんにとってちょっと吸いにくくなっていた事が原因でした。
ママのおっぱいにも赤ちゃんのお口にも、何の問題もありません。
当院にはこのような方がよくお見えになります。
おっぱいの扱い方、搾乳のちょっとしたコツなどを知っていると「しなくても良い苦労」をしなくてもすむのです。
扱い方やコツはそんなに難しいことではありません。
当院にいらっしゃらなくても、困っておられる方々にそれを伝える方法をただ今模索中です。

卒乳

今日は「おっぱい講座 テーマ:おっぱいの卒業」でした。10組のママと赤ちゃんたちが参加されました。卒業の1ヶ月くらい前から赤ちゃんに「なぜやめるのか?いつやめるのか?」を具体的に伝える事で、赤ちゃん自身が「おっぱいが飲めなくなる事」を納得して受け入れていけるようになります。おっぱいをやめて2〜3日経つとお兄ちゃん・お姉ちゃんぽくなります。「自分はおっぱいをやめれたんだ、赤ちゃんじゃないんだ。」という自信がつくのかなと思います。赤ちゃんは、大人の私たちが思っているよりずっと賢いです。喋れないけど話は理解出来きます。おっぱい講座(テーマ:おっぱいの卒業)では、このようなお話をしております。興味のある方はどうぞご参加ください。