桶谷式について

桶谷式について

桶谷式とは

桶谷式マッサージ
桶谷式乳房手技(乳房マッサージ)
桶谷式とは 故桶谷そとみ氏によって考案された「乳房マッサージ」です。正式には「桶谷式乳房管理法」と言います。
乳房の基底部(乳腺体の後)の伸展性を良くして乳房の状態を整える独自のマッサージです。

桶谷そとみ氏は、母親の体調・乳房の状態が母乳を飲む赤ちゃんの発育や健康とつながりがあるという「母子一体理論」を提唱しました。
赤ちゃんにとって最適の母乳が飲めるようにそれぞれのお母さんとお子さんに合った方法を提案しています。

 

公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会とは

桶谷式母乳相談室のプレート

公益社団法人桶谷式母乳育児推進協会は、助産師の国家資格を有し、桶谷式乳房管理法を学んだ桶谷式乳房管理士で構成されております。
桶谷式乳房管理法の正しい伝承と後輩の育成を行っています。

母乳で育てたいけれど、分泌が少ない・赤ちゃんが乳首に吸い付いてくれない・乳房が張って痛いなど、母乳育児で悩んでおられる方に桶谷式の乳房マッサージを行うとともに、その方に合った授乳方法などの支援を行っています。

現在、会員は約550名で、全国の助産院(母乳相談室)・病産院で母乳育児の支援を行うとともに、年に2回は地域ごとに開かれる講習会に参加し技術の向上に努めています。日本国内だけでなく海外でも活動をしています

桶谷先生との出会い

井田智子
桶谷先生の治療院の最寄駅にて 25才の頃
私の恩師 桶谷そとみ先生(桶谷式乳房管理法の創始者)と出会った時の事を書いた文章です。
この当時私は助産師になって3年目の25歳。
今思えば自信過剰の「カン違い」助産師でした。
この文章を書いてから40年以上経ちますが、今も時々読み返します。
長い文章ですが、良かったら読んでください。

※文中の「手技」とは乳房マッサージの事です。

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「ピシッ!」手の甲に痛みが走りました。と同時に桶谷先生の「帰れーっ!」という怒りに満ちた声が診察室中に響きわたりました。呆然と立ちつくす私。「そんなものは手技ではない。そんな触り方をする者には教えたくない!帰れ!」

その場にいたたまれず、新家(桶谷先生宅の最寄り駅)の駅までの道を泣きながら走って帰ったあの日。
1981年2月。春から始まる桶谷先生のもとでの研修を前に、先生宅へあいさつに伺った時の出来事です。

当時、私は勤務していた病院で、桶谷式を学んだ先輩の手技を見よう見まねでお母さん方に行っていました。そんな「手技」でも今までの乳房マッサージよりは痛みなどはあまりなく効果もあるようで、お母さん方に喜ばれていた(と思っていた)ので、自分の手技はいいセンいっていると信じていたのです。

そんな私ですから、先生から「一度やってみなさい。」と促された時、自信満々で手技(?)をし、その結果、先生の怒りを買ってしまいました。

雪の下の花

人前で叱られた恥ずかしさ、傲慢だった自分への怒り、先生への申し訳なさ、いろいろな感情が一気にこみ上げてきて、電車の中でも涙が止まらなかったあの日。

自分の手技の未熟さを恥じました。そして、それ以上に自分の貧しい心を恥じました。先生は私の手技の未熟さだけでなく、乳房を大切に扱う心が足りない私に怒りを覚えられたのだと思います。

桶谷先生のもとで、心と手をたたき直したいと切実に願いました。
翌日、一から出直そうと決心し桶谷先生に謝罪し、幸いにも入門を許されました。先生宅の敷居は二度とまたがせてもらえないと思っていただけに、うれしくて、うれしくて、また涙が出ました。

 

雪の下

私の人生の転機となった桶谷先生との出会い。あの日から早36年が経ちました。先生と出会わなかったら、「自信過剰なカン違い助産師」となって、多くの方々に多大なご迷惑をおかけしていたことでしょう。

研修を終えて月日が経っても、あの時の手の甲の痛みを忘れることなく、自分の手技と心を振り返る余裕を持ち続けたいと思います。

そして、悩んでおられるお母さん方のおっぱいも心もふんわり軽くなるような相談室でありたいと願っています。

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助産師としての経験年数が増えて年を重ねるにしたがって、この時の桶谷先生のように私の至らないところを指摘して叱ってくれる人はいなくなってきます。
年上の人に、「それはおかしいですよ」とはなかなか言いづらいものですよね。
私にも覚えがあります。
だから、気づかないうちにまた「カン違い助産師」になってしまわないように、私はこの文章を何度も読み返すのです。

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