おっぱいを飲む時むせる

赤ちゃんは、おっぱいを飲む時に「むせる」事があります。

赤ちゃんがむせながら飲んでいる様子を見て「むせるほど母乳が出ているんだわ。」と良い事のように思っているママもいらっしゃいますが、出来るだけむせないで飲める方が良いです。

今回は、何故むせない方が良いのかについてお話します。

むせながらおっぱいを飲んでいる赤ちゃんの様子

むせている時の赤ちゃんはゴホゴホと咳き込んだり、呼吸もゼイゼイと苦しそうです。

ビックリして乳首を離して飲むのをやめてしまうこともあります。
おっぱいを飲む事がなんだか辛そうに見えます。

また、授乳後に仰向けに寝かせると、真っ赤なお顔で両手を挙げてきばる赤ちゃんが多いです。
そしてオナラをよくします。

それは、むせる時に母乳と一緒に空気も飲んでしまうからです。

空気を飲むとお腹が張ります。
お腹が張っている時に仰向けに寝るのはしんどいですから、きばってオナラを出そうとしているのでしょう。

オナラと一緒に「ちょびっとウンチ」をする事も多いですので、オムツかぶれにもなりやすいです。オムツ替えの回数が増えるのでオムツ代もかさみます。

むせる原因は?

母乳が出過ぎている場合は赤ちゃんはむせやすいですが、それほど出過ぎていないけれどむせる事はよくあります。
なぜむせるのかと言うと、
「おっぱいが噴射するように赤ちゃんの口の中に勢いよく流れ込むから」です。
つまり、おっぱいの勢いが強すぎて赤ちゃんが自分のペースで飲めない時にむせるのです。

逆に、「おっぱいが噴射せずに赤ちゃんの口の中にゆっくりと流れ込む」と赤ちゃんは自分のペースで飲めるのでむせません。

大人の私たちで例えて言うと、
「ペットボトルの口から水やお茶が噴射して出る」と大人の私たちでもビックリしますし、むせるでしょう。
やはり飲み物は自分のペースで飲みたいですよね。

むせないように授乳するには?

授乳前に指で搾乳して母乳を少し捨てると良いです。

どのくらい搾乳すると良いかと言うと、
「乳輪部が少し柔らかくなるくらい」です。
搾乳すると母乳がすぐに噴き出すようでしたら、「噴き出すのが少し落ち着くくらい」です。



搾乳する事によって、おっぱいが噴射せずゆっくりと出るようになりやすいので、赤ちゃんは自分のペースで飲みやすくなります。

母乳不足かな?と悩んでおられるママにとっては、「捨てるなんてもったいない。」と思われるかもしれません。

その場合は哺乳瓶に搾乳して、授乳した後に飲ませると良いですね。

★搾乳する時の注意点があります。
それは「力を入れすぎないこと」です。
痛みを感じるほど力を入れると、乳輪部が腫れてしまうことがあります。

また、母乳が出過ぎる方の場合は「ゆっくりとしたスピードで搾乳すること」です。
早いスピードで搾乳すると、刺激が強すぎてよけいに分泌が増えてしまったり、乳房が張りすぎることがあります。
童謡「ゆりかごの歌」のテンポより少しゆっくりくらいです。

♪ゆりかごの歌をカナリヤが歌うよ。ねんねこねんねこねんねこよ。♪


授乳中に赤ちゃんが眠ってしまわないようにする

何故眠ってしまわない方が良いかと言うと、
赤ちゃんがママの乳首を吸うと、その刺激を受けて母乳が作られて出てきます。(射乳といいます)
赤ちゃんが起きている時は、母乳が出てきてもあまりむせずに飲みます。

けれども、ママの乳首をくわえてウトウト眠っている時の赤ちゃんは無防備です。急に口の中に母乳が流れ込んで来ると、すぐに飲み込む事が出来ない為むせるのです。

授乳中は出来るだけ眠ってしまわないようにした方が良いです。
その方法についてはこちらを参考になさって下さい。
https://ida-josanin.com/sp/2019/05/26/lactational-method-time/

赤ちゃんが飲みやすい抱き方も大事です

それは、「大きい口を開けやすい」「舌を前に出しやすい」「呼吸がしやすい」 抱き方です。
その方法についてはこちらを参考になさって下さい。
https://ida-josanin.com/sp/2019/07/31/lactational-alette

むせた時はどうしたら良いの?

むせたら、赤ちゃんの身体を起こして縦抱きにしてゲップを出すときの体勢にしましょう。

ゲップが出ないときは、しばらく抱っこして赤ちゃんが落ち着いてきたら授乳を再開してみましょう。

以上の事をやってみても効果がないときは?

以上の事をやってみても、むせる・お腹の張り・いきみなどが改善しない場合は、稀に病気の事もありますので、小児科医師に相談してください。

乳首の上のつけ根の傷

当院でお受けする母乳育児相談で、授乳中の乳首の痛みに関する事は、とても多いです。

「乳首の痛み」の原因は「白斑」「乳栓」「咬み傷」などいろいろあります。

原因によってその対処方法も変わってきます

※最も多いトラブルの一つの「白斑」についてはこちらをご覧になって下さい。

今回は、
赤ちゃんに授乳している時に

「乳首が噛まれている感じがして痛い」
「乳首をはさまれている感じがして痛い」

などの原因と対処方法についてお話します。

このような授乳中の痛みで困っておられるママの

「乳首の上のつけ根」

を拝見しますと、少し赤くなっていたり、線状の細い傷がついている事が多いです。

「ここは痛いですか?」とその部分を指で軽く押すと「痛いです!」とおっしゃいます。

「乳首の上のつけ根」に傷が出来る主な原因は、授乳中の赤ちゃんの抱き方にあります。
どのような抱き方かと言うと「 赤ちゃんのお顔がうつむいてしまう」ような抱き方です。

赤ちゃんのお顔がうつむいてしまうと、

ママの「乳首の上のつけ根」に赤ちゃんの歯茎が当たります。

また、お顔がうつむくと

顎が引けてしまいますので、舌を前に出しづらくなりますし、口も大きく開けられませんから乳首の先しか吸えません。

歯茎が当たった状態で、乳首の先を吸われると「乳首の上のつけ根」に常に強い力が加わります。

このような授乳が何回も繰り返されることで痛みは増していくだけでなく、やがて傷が出来てしまいます。

この傷が深くなって、パックリと割れてしまったり化膿する事もあります。

では、そうならないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?

授乳の時、赤ちゃんのお顔をあお向けるように抱っこします。

コツとしては、赤ちゃんの後頭部に手を当てるというよりも、赤ちゃんの後頭部と肩甲骨の間くらいに手を当てて乳房に引き寄せるようにすると、赤ちゃんの顔は上を向きやすくなります。

その際に下記のイラストのように、ご自身の親指の位置を意識してみると良いでしょう。

赤ちゃんの鼻とママの乳房の間に小指一本分くらいの隙間を作るようにすると良いです


こうすると、赤ちゃんの歯茎はママの乳首の上のつけ根に当たらないですし、赤ちゃんのあごは引けてしまわないので、口を大きく開けられます。

舌もしっかりと前に出せますから、深くくわえられるので痛みもなく傷も出来にくくなります。

私たちも飲み物を飲む時はちょっと上を向きますよね。
うつむきながら飲み物を飲んでいる人はあまり見かけません。
また、上を向いた方が口も大きく開けられます。

当院に来院されるママたちの授乳の様子を拝見していますと、
10年ほど前から
「ご自身のお腹と赤ちゃんのお腹を密着させるように抱いて授乳する」方が多くなったなと感じます。

たぶん、赤ちゃんに乳首を深くくわえてもらうためなのでしょう。
けれども、ママと赤ちゃんのお腹が密着しすぎると、赤ちゃんのお顔がうつむきがちになって乳首のつけ根に赤ちゃんの歯茎が当たってしまう事が多いです。

ですので、

「赤ちゃんに深くくわえさせる」事よりも、
「赤ちゃんが大きな口を開けやすいように」という事を意識してみてはどうでしょうか?

参考になれば幸いです。

授乳の抱っこ方法については下記もご参照下さい。

授乳の抱っこ方法


オンラインおっぱい講座

昨日は「オンラインおっぱい講座」の日でした。
「おっぱいトラブルの原因と対処方法」のテーマでお話させていただきました。

大阪府・東京都・三重県・愛知県・岐阜県などから9人のママさん達が参加されました。
皆さま大変熱心に聞いて下さいました。

【講座の内容】
「詰まる」原因は?
白斑と乳栓の違いは?
白斑が出来る原因とは?
白斑が出来た時の授乳のコツ
授乳の際の赤ちゃんの抱き方のコツ
乳栓が出来る原因とは?
乳栓が出来た時の授乳のコツ
乳栓の取り除き方
シコリが解消された後、分泌不足になりやすい理由
授乳中のママさんの栄養について etc.              

このような母乳育児の知識とちょっとしたコツを身につけることは、ご自身の大切な乳房をトラブルから守ることでもあります。

コロナ禍で外出がままならない今だからこそ、「自分で出来るようになる」ことがとても大切です。

当院の「おっぱい講座」は約20年前から始めました。
母乳育児の知識とコツを伝えるだけではなく、ママさん達の交流の場として多くの方々に参加していただいてきました。

子育ての悩みを聞いたり聞いてもらったり、情報交換をしたり。
思いきりおしゃべりして、泣いて、大笑いして。

ふだん、子育てに奮闘しているママさんにとっては、ホッと一息つける時間のようです。

「おっぱい講座」がきっかけでママ友となり、子どもたちが成長してもお付き合いが続いているという方も珍しくありません。

ところが、昨年よりコロナウイルス感染拡大防止のため、助産院に来ていただいての講座の開催が難しくなり、オンラインに切り替えざるを得ない状況になりました。

「今までのようなママ同士の交流がオンラインでも出来るのだろうか?」という思いが常にありましたが、オンラインそのものに私自身が不慣れでしたので、その事をじっくりと考える余裕がないままオンラインでの「おっぱい講座」を続けていました。

助産院でのおっぱい講座

けれども、今回の講座終了後に、参加されたママさんが次のような感想を寄せて下さいました。

「オンラインでも、他のママさん達と顔を合わせて伺うお話は温かい雰囲気を感じることが出来ました。」

このように感じていただく事が出来て本当に嬉しかったです。
画面越しでも人と人の温かさは伝わるものなんだなと思いました。

これからも、ママたちが楽しく交流出来るような講座にしていくために、オンラインの事をもっと勉強していろいろな工夫をしていこうと思います。

それにしても、オンラインで開催しなかったら、言葉を交わす事もなかったであろう遠方にお住まいの方々と、すぐそばににいるみたいにお話したり笑い合ったり出来るって本当に有り難い事ですね。

インターネットが普及していない20年以上前に、コロナウイルスが流行していたら、私たちはどうしていたのかなと思います。

最後に、反省点がひとつ。
眉毛描くの忘れてたヮ ^^;

ただ今、オンラインおっぱい講座受付中 

テーマ:おっぱいのトラブル
9月9日(木)(木)11:00〜12:30

乳腺炎、乳頭キレツ、白斑、シコリなどのトラブルの原因と
自分で出来る対処方法についてお話します。
参加費:1000円
詳しくは→https://ida-josanin.com/shop/
コロナウイルス感染拡大などで思うように外出出来ない今、おっぱいトラブルについて知っておくと安心です。
貴方の大切な乳房を守るのは貴方自身です。

ママ友

以前は、当院に来院されたママさん同士がお話する機会も多く、それがきっかけでママ友になり、子どもが大きくなってもお付き合いが続いてらっしゃる方も珍しくありませんでした。

けれども、コロナ禍の今、「密を防ぐ」ために来院される方が同じ時間帯に重ならないように予約時間を調整していますので、ママたちの交流はほとんどなくなってしまいました。

それでも、たまに重なる時があって、ママさん同士が短時間でも言葉を交わされると

「赤ちゃんのいるママと初めて話せました」
「私と同じような事で悩んでいる方がいると分かって何だか安心しました。」
「私以外のママたちもしんどいのだなって思えました。」

ママたちを見ていると、とても嬉しそうです。
赤ちゃんたちもお互いに不思議そうに見ていています。
なんとも言えない和やかな雰囲気になります。
やっぱり、こういうちょっとした触れ合いは大事ですね。

感染対策しつつ、少しでも交流出来るように考えていこうと思います。

研修生は妊婦さん

今日の研修生は臨月をむかえた妊婦さん。
3人目を出産予定の天子助産院の笹倉さんです。
大きなお腹でご自身も大変な時なのに、母乳育児で悩めるママたちをサポートするために研修にいらっしゃいました

今日は断乳後(卒乳後)の方と乳管が詰まってシコリが出来て辛い思いをなさっている方が来院されました。

私は今までたくさんのママさんと赤ちゃんたちから多くの事を学ばせていただいたので、「学んだ事を後輩に伝えていく」というのがこれからの私の役目だと 勝手に 思っています。
あともうちょいと頑張りまーす。

井田助産院サイト
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