ママの悩みQ&A_OLD

ママの悩みQ&A

母乳育児の悩み

飲ませても飲ませても泣くんです

当院にいらっしゃるママたちは、左右の乳房を10分ずつというように時間を測って授乳しておられる方が多いです。
スマホのタイマーできっちり10分間測っておられる方も珍しくありません。授乳時間を測るアプリもママたちの間で普及しているようです。
この10分ずつというような時間を測っての授乳は母乳分泌不足、乳房トラブルにつながりやすいと私は思っています。

赤ちゃんは乳房にたまっている母乳を飲むだけではなく、授乳の途中で湧き出してくる母乳も飲みます。
赤ちゃんがママのおっぱいを吸うと、吸われた刺激がママの脳に伝わり、母乳を作るホルモンが分泌されて母乳が瞬間的に作られ湧き出してきます。この現象を「射乳」といいます。(乳房の機能が弱くなっている時は射乳は起きにくいです。)

射乳がおこると、母乳が出てくるので赤ちゃんはゴクゴクと飲みます。が、しばらくするとゴクゴク飲まなくなります。何故でしょうか?

それは母乳が出なくなるからです。
多くのママたちは「母乳は授乳している間(赤ちゃんがおっぱいをくわえている間)ずっと出続けている。」と思ってらっしゃいますが、ずっと母乳が出続けることはありません。射乳している間だけ出ます。

それは、どのくらいの時間かというと、個人差はありますが、だいたい60秒くらいまでです。あっと言う間に終わります。
射乳が終わると母乳は出なくなるので赤ちゃん飲むのを止めてしまいます。
おっぱいの先をくわえたまま眠ってしまう赤ちゃんも多いです。ママはその様子を見て、「お腹がいっぱいになって寝たんだ。」と思ってベッドに寝かせます。

けれども、赤ちゃんは十分な量の母乳を飲んでいるわけではないのですぐ泣いて起きます。「あっ!ウッカリ寝てしまったけど、ボク(ワタシ)まだお腹空いてるわ!」と気づくのですね。
泣いている赤ちゃんを見て、ママは「さっき飲ませたのになあ?、、、何故?、、」と思いつつまた授乳します。
そうしているうちに、

授乳する→
寝たのでベッドに寝かせる→
すぐに起きて大泣き →
授乳する →
寝たのでベッドに寝かせる→
すぐに起きて大泣き→
授乳する

という負のスパイラルに陥ってしまう事もあります。

これが続くとママのおっぱいの先は痛くなることが多いです。
また、痛いだけではなく、母乳が出る穴が傷ついて狭くなってしまうので、スムーズに出れなくなった母乳が乳房内に残りやすくなります。

その結果、乳房が全体的にあるいは部分的に張って痛い、白斑が出来て痛いなどのトラブルにつながってゆく事もあります。
また、乳房内に常に母乳が残ることで分泌量が減ってしまう事も多いです。

そうすると赤ちゃんは十分な量の母乳が飲めないので、ますます何回も起きて泣くという状態になりがちです。
ママは寝る暇もなくおっぱいも痛いので、次第に心身ともに疲れきって「飲ませても飲ませても赤ちゃんが泣く!」「授乳が苦痛!」「授乳がしんどい!」 となってしまいます。

では、どうすれば良いのでしょうか?
赤ちゃんがゴクゴク飲むのを止めたらすぐにもう一方のおっぱいに交代すると良いのです。

射乳は左右のおっぱいに同時に起こります。例えば右のおっぱいを吸っている時に射乳が起こると左のおっぱいに射乳した母乳がたまっていきます。赤ちゃんが眠ってしまわないうちに左に交代すると、左のおっぱいには母乳があるので、すぐに飲む事が出来ます。
そして左を飲み終わると赤ちゃんはまた眠ってしまいそうになりますが、眠ってしまわないうちに右に交代します。交代しても眠ってしまいそうになったら、また左に交代します。
せわしない感じがしますが、このように「赤ちゃんに眠るスキを与えない」ように左右の乳房を交代して授乳するようにすると、 赤ちゃんは起きているのでおっぱいをしっかり吸います。
しっかり吸うので、もう一度射乳が起こりやすくなります。射乳が起こると母乳が湧き出て来るので赤ちゃんは眠ってしまわないで飲みます。

このように、右○分 左○分と決めてしまわないで、赤ちゃんの飲む様子を観察して左右を交代する方が射乳が起こりやすくなるので、一回の授乳で飲む量が増えていきやすいです。

交代のタイミングがわからないという場合は、
赤ちゃんの飲む力が弱くなったら交代すると良いでしょう。 赤ちゃんが小さいうちはこのように授乳に手間暇がかかりますが、赤ちゃんが大きくなってくると飲む力もついてきますし授乳中あまり眠らないようになってきますので、こまめな交代は必要なくなってきます。

余談ですが、授乳の時はいつも「おかわり行くよ」と赤ちゃんに声をかけて左右を交代していたママさんがいらっしゃいました。
その赤ちゃんが3ヶ月くらいになった頃、ママが「おかわり行くよ」と声をかけると「ハイ、わかりました」という感じで飲むのをやめて交代してもらうのを待つようになりました。
その様子が可愛くて可愛くて。赤ちゃんって本当に分かってるんだなぁと思った次第です。

体格、体質、乳房の形、乳房の大きさは人それぞれ違います。射乳の量・回数も人それぞれ違います。
射乳の一回の量が多くて回数が少ない、量は少ないけれど回数が多いとか様々です。

また、同じママでもお腹が空いているかどうか、喉が渇いているかどうか、緊張しているかリラックスしているか、などによっても射乳の量や回数は変化します。
赤ちゃんもいつも同じではありません。ウンチが大量に出た後は空腹だろうし、朝などは遊んでほしいからあまり飲まないとか、赤ちゃんにもいろいろ事情があります。

だから、時間を決めて時計やスマホを見ながら授乳するのではなく、赤ちゃんの様子を見ながら授乳する方が合理的と言えます。

このように授乳しているとそのうちに赤ちゃんと視線が合うようになってきます。
赤ちゃんは、ママに見守られながら母乳を飲む方が安心だし嬉しいんじゃないかなと思います。
お互いに見つめ合いながらの授乳はとても幸せなひと時ですね。

最後にミルクの補足についてですが、必要な量は足しましょう。
当院には「母乳だけで育てたい」と頻回な授乳で頑張っているママもよくいらっしゃいます。が、乳房の状態によってはミルクの補足が必要な方も多いです。必要な量が飲めないと赤ちゃんの成長にも影響します。
睡眠不足で疲れきっている時は母乳の分泌は少なくなりやすいですので、ミルクを補足して睡眠をとった方が良いです。
どのくらいのミルクを補足したらよいかどうかは乳房の状態・赤ちゃんの様子によって判断した方が良いので、可能であればお近くの母乳相談室を訪ねてみてください。
※ 最近は「赤ちゃんのお顔が見えるような授乳の抱っこ」が苦手な方も多いです。これについてはまた書きますね。

授乳の抱き方がうまく出来ません

当院に来院されるほとんどのママたちは、母乳育児を望んでいるけれども思うようにいかないという事でいらっしゃいます。

母乳の出が悪い、赤ちゃんがおっぱいに吸いつけない、おっぱいの先が痛い、シコリが出来て痛いなどのご相談が多いです。

母乳育児がうまくいかない最も多い原因の一つが「授乳時の赤ちゃんの抱き方」です。

「授乳時の赤ちゃんの抱き方」は、おっぱいトラブル・分泌不足などと密接な関係があります。

数年前から、当院に来られるママたちの授乳の時の抱き方は、ご自分のお腹と赤ちゃんのお腹を密着させてらっしゃる方が多いです。

多いというよりほとんどの方がそのように授乳しておられます。
「赤ちゃんの身体を自分の身体にベルトみたいに巻きつけるようにして抱いています。」という方もいらっしゃってびっくりします。

「赤ちゃんに母乳をたくさん飲ませたい」「しっかり吸わせたい」という思いでそのように授乳しておられるのだと思います。

けれども、当院に来院される方々の乳房の状態、赤ちゃんの飲む様子を拝見していると、ママのお腹と赤ちゃんのお腹は密着させすぎない方が良いのではないかと思います。

●おっぱいをたくさん飲めないことがあります

「お腹とお腹を密着させて授乳する」と、赤ちゃんの顔はうつむきがちになります。

うつむいてしまうと、口を大きく開ける事が出来ません。大きい口を開けられないので、ママの乳首を深くくわえることが出来なくなります。そのため、乳首の先の方を吸ってしまいます。

(私たち大人も上を向いた方が口を大きく開けられますし、飲み物を飲む時もちょっと上を向いて飲みますね。うつむくと飲みにくいです。)

乳首の先は吸っても母乳はあまり出ません。母乳が出る所は乳首の先よりももう少し奥の方にあります。

赤ちゃんはあまり出ない乳首の先を吸うので、お腹がいっぱいにならないため頻回に欲しがって泣くことが多くなり、ママも睡眠不足になって疲れがたまっていきます。

赤ちゃんの口元が見えません。

●赤ちゃんの鼻の穴がママの乳房にくっついてしまうため、呼吸しにくくなります

赤ちゃんの鼻が乳房にくっつかないように指で乳房を押さえて空気が入る隙間を作ってあげているママも多いですが、ずっと指で押さえているのはけっこう大変です。

  「赤ちゃんが乳首を嫌がり、のけぞって飲みません」という相談は多いのですが、赤ちゃんが呼吸しやすいように抱き方をちょっと変えるだけで、嫌がらずに飲めるようになる事はよくあります。

赤ちゃんの鼻が乳房にくっついています

●おっぱいトラブルとの関係

赤ちゃんは大きな口を開けにくいので乳首の先を吸いがちです。
そのため乳頭の先に負担がかかって、乳首の亀裂や白斑が出来ることがあります。

乳首の亀裂や白斑はとても痛いです。
痛いだけではなく、このような状態が続くと、おっぱいが出る穴(排乳口)が傷んで狭くなり詰まりやすくなります。

完全に詰まってしまうと母乳がスムースに出なくなるため、乳房内に母乳がたまって張って痛くなったり、部分的に固まってシコリのような状態になることもあります。

また、それだけではなく、赤ちゃんの顔がうつむくために、
赤ちゃんの上の歯茎がお母さんの「乳首の上の付け根」に当たる事があります。

赤ちゃんといえども歯茎は硬いです。硬い歯茎が当たった状態で赤ちゃんに吸われると
「乳首がはさまれている」「噛まれている」ような感じがしてとても痛いです。

このような状態が長期間続くと、乳首の上の付け根に亀裂が出来て出血することもあります。この状態を「乳頸亀裂」と言います。もちろんとても痛いです。

授乳のたびに痛みにさいなまれる事は、母乳育児を望んでいるママたちの心を折ってしまうこともあります。
「授乳する度にものすごく痛くて辛いです。」
「赤ちゃんがお腹を空かせて泣いている口を見ると恐怖を感じます。」というママたちは多いです。

以前いらっしゃったママは痛みに耐えるために、ご自分の太ももを指で思いきりつねりながら授乳しておられました。「つねっていると乳首の痛みがまぎれるんです。」と。
その方の太ももには青あざが出来ていました。

耐えがたい痛みが続くため「母乳育児は諦めてミルクにしたいので母乳を止めてください。」と来院される方もいらっしゃいます。

●肩、背中、腕がしんどい

授乳の間中、赤ちゃんのお腹を自分のお腹に密着するには、それなりの力を要しますし、かなり前かがみな姿勢になりがちです。

●ママと赤ちゃんの視線が合いにくい

お腹とお腹を密着させて抱っこすると、赤ちゃんの顔はお母さんの腕の向こう側を向いてしまいます。そのためお母さんと赤ちゃんとは視線が合いにくくなります。

生まれたての赤ちゃんは授乳中目を閉じている事が多いですが、日が経つにつれて眼を開けて飲むようになってきます。

赤ちゃんがおっぱいを飲みながら目を開けた時、「お母さんがいない、、、。」「誰もいない、、、。」って。寂しくないですか? 見えるのは、お母さんの腕やお母さんの服、あるいはお母さんの腕越しに見えるお部屋の様子。。。

お腹の中では、お母さんの心臓の音、お母さんが話したり歩いたりした時の振動、お母さんの息づかいを感じていたのに。
お母さんに抱っこされておっぱいを飲んでいるはずなのに、赤ちゃんの視線の先には、お母さんはいないんです。

ママたちも授乳の時は赤ちゃんと視線が合うものだと周囲の人たちから聞いているので、何とか目を合わそうとしてらっしゃいます。けれども、どうしても目が合わないし、そのうちに手持ち無沙汰なのでついついスマホを見てしまうという方も多いのではないでしょうか?

でも、赤ちゃんがご自分の目をじっと見つめながらおっぱいを飲んでいたら、可愛くてスマホを触る気にならないんじゃないかな?と思います。

また、可愛いだけではなくて、おっぱいを飲みながら赤ちゃんがお母さんの顔、表情を見る事はとても意味があります。

黒川氏は、「授乳中、赤ちゃんの口角周辺の筋肉は、三次元的に微細に動いている。
このため、お母さんの表情筋を読み取って、自分の表情筋に伝えやすいのである。ミラーニューロンが最も有効に使われる時間と言っても過言ではない。
その授乳中、お母さんが赤ちゃんに意識を集中し、目を合わせたり、微笑んだり、話しかけたりすることが、ことばとコミュニケーションの認識フレームを作り出す。共感力の要になるのである。」※1
と述べています。

赤ちゃんはママの表情の動きを鏡のように写し取って言葉を獲得するだけでなく、共感力も育んでゆくのですね。

授乳の時間は、赤ちゃんにとってもママにとっても期間限定の貴重なひとときです。お互いの目を見つめながら授乳出来たらとても幸せな気持ちになれるでしょう。

●どのように抱っこしたら良いのか?

乳房が大きめなママの場合
写真のように、赤ちゃんの背中、お尻をママの膝(あるいは授乳クッション)の上において、赤ちゃんの顔をママが見えるように仰向けます。ママを見上げる感じです。

乳房が小さめなママの場合
乳房が小さめなママがこのように抱くと乳首の位置が遠いため、赤ちゃんの首は乳首の方にねじる形になり首に負担がかかります。
そこで、赤ちゃんの全身ををママのお腹の方へやや傾けるようにして抱きます。

乳房が大きめのママの場合

(注)写真は左手で赤ちゃんの頭と首、背中を支えていますが、クッションなしで写真のように抱くと首に負担がかかります。
このように抱く時は赤ちゃんの頭と身体をクッションに乗せるようにしましょう。

乳房が大きめのママの場合

このように抱っこすると赤ちゃんは口を大きく開ける事が出来ます。

赤ちゃんの鼻が乳房にくっつくこともないので楽に呼吸しながら母乳を飲めます。もちろん赤ちゃんの歯茎がママの乳首の付け根に当たらないので痛くありません。

また、赤ちゃんが生まれて間もない頃は、上の写真のようにママの手で乳房を少し持ち上げてあげると、赤ちゃんの口に乳房の重みがかからないので疲れにくく、下アゴも動かしやすくなります。

●乳首を赤ちゃんの口に入れる時のコツ

赤ちゃんの口より上に乳首をもってくる
乳房を手で下から支えて、乳首を赤ちゃんの口より上にします。

どうしてかと言うと、例えば「パン食い競争」でパンをくわえる時、自分の口より上にあるパンと下にあるパンではどちらがくわえやすいでしょうか?大きな口を開けられるので上にあるパンがくわえやすいですね。

(最近はパン食い競争ってあまり見かけないですが)

多くのママたちは「赤ちゃんの頭に手を当てて、乳首に引き寄せる」と思っていらっしゃいますが、そうすると赤ちゃんの顔はうつむいてしまい大きな口が開けられません。(写真の赤丸印)写真①↓

親指の位置は赤ちゃんの耳の上にあります

では、どうすれば良いかと言うと

赤ちゃんの背中とお尻に腕の内側を当てて、赤ちゃんの頭の下部と首と背中の上部に手を当て(写真の赤丸印)そっと乳首に引き寄せます。写真②↓

親指の位置は赤ちゃんの耳と同じ高さにあります

このようにすると赤ちゃんの顔は上を向きますので、大きな口を開ける事が出来て乳首をくわえやすいです。また、ママの顔もよく見えます。

写真の赤丸印のようにご自身の親指の位置を意識すると良いです。

また、この写真では右の乳房を授乳する時に左腕で抱いていますが、授乳に慣れていない時はこの抱き方がくわえさせやすいです。慣れてきたら途中で右腕に替えれば良いでしょう。

以上で飲ませ方のお話は終わりです。

皆さまの参考になれば幸いです

※出産したばかりの頃はママの乳頭・乳輪部は硬い事が多いので、授乳前に手で搾乳するとくわえさせやすいです。
搾乳の方法についてはまた改めてお話します。

※1黒川伊保子:共感障害.新潮社, p195- p196,2019年

母乳育児以外の悩み

私が抱っこすると泣くんです

このようなことは、2〜3ヶ月くらいまでの赤ちゃんによくみられます。
赤ちゃんはお母さんが誰かということはちゃんとわかっています。
わかっているからお母さんが抱くと泣くことがあるのです。

どういうことかと言うと、小さい赤ちゃんはお母さん以外の人に抱っこされたり、かまわれたりすると、「この人は誰かな?何かされるのかな?ちょっと怖いから今は黙っていた方が良さそうだぞ。」というふうに思って、緊張して身を硬くします。
この様子が大人の私たちからは、おとなしくしているように見えるのです。

(私たちでも自分より身体の大きな人に、いきなり大きな声で話しかけられたり抱きつかれたりしたら、ビックリしますし怖いですよね。身動き出来ずに固まってしまって声も出せない事もあるでしょう。)

実家や自宅などでお母さんが赤ちゃんを抱っこしても泣きやまない時に、夫や実母らが抱っこすると、とたんに泣きやむ事が多いです。
お母さんはその様子を見てショックを受けます。

そしてこう思います。「私の抱っこが嫌なのかな?実母や義母は育児経験があるし抱っこの仕方が上手だから?でも夫は抱っこは上手じゃないのに、何で?」「私のことお母さんって思っていないの?赤ちゃんを泣きやませられない私ってお母さん失格?」と思って深く落ち込みます。

でも、赤ちゃんはお母さんは誰かという事はちゃんと分かっています。だって、長い間お腹の中で、お母さんの匂い・お母さんの息遣い・お母さんの足音をお腹の中で感じ取っていたのですから。
赤ちゃんはお母さんの事が大好きです。一番安心出来る人なのです。 赤ちゃんは、お母さんに抱っこしてもらっていると安心して自分の気持ちを表現出来ます。
お母さんに対しては泣きたいときは思いきり泣けるのです。甘えてわがままが言えるのでしょうね。だから、落ち込まなくてもいいのです。

そして、この「お母さんが抱っこすると泣く」という事は、いつまでも続きません。
そのうち、「お母さんが抱っこすると泣きやむ」ようになります。
大人たちはそれを「人見知りが始まった」と言いますが、「人見知り」はもっと早い時期、生まれたての頃にすでにしているんですよ。

このことで悩んでいるお母さん方は多いです。私の相談室ではよく聞きます。
でもこのような悩みがあるという事はあまり知られていないようです。
それはなぜなのか?

こんなことで悩んでいるのは自分だけかなあと思ってしまったり、誰かにうちあけても「そんな事初めて聞いたわ」などと言われたら余計に落ちこんでしまうので、相談出来ないからかなと思います。

私の相談室にやって来る小さい赤ちゃんたちは最初のうちは私のことを警戒しているのかあまり泣きません。
でも、何回か来るうちに家と同じようによく泣くようになってくることが多いです。安心してくれているのかな?と思ってちょっと嬉しくなるんですよ。
だから、赤ちゃんに泣かれても気にせずに自信を持って抱っこしてくださいね。

泣かれるのがちょっとでもマシになる方法ってありますか?

お腹が空いている、オムツが濡れている、ウンチが出そうで出ない、お熱がある、暑いとか寒いとか などなど思いつく事柄について対応してみても効果がない場合は、「説明がなくて怒って泣いている」のかもしれません。

私たち大人は、赤ちゃんに「〇〇へお出かけするよ」などとあまり事前に説明しないですから、赤ちゃんは急にどこかに連れて行かれてびっくりします。
出かけている間は緊張しているのでじっとしていますが、夜になるとその事を思い出して泣く赤ちゃんは多いです。びっくりした事をママにわかって欲しくて泣いているようです。

では、どうしたら良いのかと言うと、来客があるとか検診に行くとかお宮参りに行くとか、実家に預けるとか、日常とは違うことがあって赤ちゃんが緊張するだろうなと思われる時は、そのことを前もって赤ちゃんに伝えたらいいのです。

例えば、「今日は1ヵ月検診に行くのですよ。検診は元気に育っているかどうかを診てもらうのよ。
裸にされてあっちこっち触られるけれど大丈夫よ。」とか「今日はお宮参りに行くのですよ。あなたが元気に大きくなるようにお願いするのよ。怖いところじゃないから大丈夫よ。」「ママは用事があって出かけるからおばあちゃんと待っててね。」「お客さんが来るのよ。ちょっと声が大きい人だからビックリするかもしれないけど良い人なのよ。」というふうにお話をしてあげれば良いのです。今日はどんな日なのかが分かっていれば赤ちゃんも安心です。
そして、帰ってきたら、赤ちゃんに「今日はちょっと疲れたね。」と一言ねぎらいの言葉をかけたらなお良いです。赤ちゃんは「お母さんはちゃんとボク(ワタシ)の気持ちを分かってくれているのだな。」と思うでしょう。

ところが何も言わずにいると、いきなりいろいろな出来事に遭遇して赤ちゃんはびっくりします。
そして夜になるとそのことを思いだして泣くのです。

私たち大人でも誰かに何の説明もなしに急に知らない所へ連れてゆかれたらびっくりしますし、行く前になぜ説明してくれないのかと思いますよね。

また、いきなり知らない人が家に来て「まあ、可愛いね」とか言って抱き上げられたりしたらびっくりを通り越して怖いです。
そして、そんな事があったにもかかわらず、何事もなかったかのようにひと言も説明がなかったら、「自分はこんな思いをしているのに!」と腹も立ちます。
赤ちゃんにも「説明」は大切なんですよ。赤ちゃんは言葉なんてわからないと思っている方は多いですが、そんなことはないです。ちゃんとわかっています。
わかっているということを表現出来ないだけです。
だから、面倒でもわかりやすく具体的にお話してあげましょう。

当院に来られているお母さん方も「今日はどこへ行くとか、何があるとかを言わないで出かけたりすると夜になると怒って泣きます。ちゃんと話をしないといけないんだなと思います。」とおっしゃいます。
このように、お話をするように心がけると「説明がなくて怒って泣く。」ということが減ります。

あと追いがひどくて困っています

あと追いがひどくて困っておられる方は多いです。落ち着いて用事も出来ないし預けられないので外出もままなりません。
「あと追い」は成長のひとつとも言われます。お母さんのことをちゃんと認識しているのでお母さんがいなくなったら不安だから後追いするのだと。
確かにそれはそうかもしれませんが、お母さんにとって「あと追い」はつらいものですね。そこで、「あと追い」を少しでも少なくするにはどうすれば良いのか考えてみましょう。
赤ちゃんにとってお母さんはかけがえのない存在です。
お母さんがいなくなると困ります。野生動物の赤ちゃんはお母さんとはぐれてしまうと多くの場合生きていけません。

赤ちゃんにとってお母さんはとても大切な人です。 だから気がつくとお母さんがいないという体験を何回もした赤ちゃんは、動けるようになるとお母さんを見失わないように後をついて行くのだと思います。

例えば何も言わずに赤ちゃんのそばから離れる、トイレに行くとか洗濯物を干しに行くとか、預けて出かけるとかすると、お母さんがいないことに気づいた赤ちゃんはとても不安になります。
このようなことが度重なると「お母さんのあとにくっついていれば安心」と思ってしまうのでしょう。 では、どうすれば良いのか?もうお分かりですね。
赤ちゃんのそばから離れる時はひと言伝えてから離れると良いです。「ちょっと洗濯もの干してくるからね。」とか「トイレに行ってくるね。」とか「用事があるから出かけるね。パパとお留守番しててね。」と伝えるのです。
そして赤ちゃんのそばに戻ったら「帰ってきましたよ。」と声をかけるのです。 「行って来ます」と「帰って来ました」をちゃんと言うことが大切です。

赤ちゃんは言葉なんて分からないと思っている人が多いですが、そんなことはないです。ちゃんと分かるのです。
当院ではよくこのような話をしていますので、新生児の頃から実践しているお母さん方は「あまり後追いをしないので助かっています。」とおっしゃる方もいらっしゃいます。 毎日の積み重ねは大事ですね。

もともとよくおしゃべりをするタイプのお母さんは無意識に赤ちゃんに話をしているようですが、無口なタイプの方はちょっと意識するようにしたら良いですね。